紺野道昭通信

ぶれない判断軸を持つために 行動指針⑥(定期発信-Vol.206)

人間の弱さ

前回ご紹介した強い考えをもってしても、置かれた環境によって判断軸が揺らぐことがありますから、環境というのは本当に大事な要素です。

先頃、銀行員が顧客の資産に手をつける事件が話題になりました。

一般論として倫理観の欠如が理由にされがちですが、実際には借金や家庭の事情など、当人が追い詰められていた背景があることが殆どです。

経営学で不正のトライアングルと呼ばれるように、動機と機会、そして正当化の三つが揃うと不正に手を染めやすくなります。

つまり環境が人を追い込んでしまうのです。

そこで普段から環境を整え、心にゆとりを持つことが大切になってきます。

もちろん人によっては難しいかもしれません。

日々の仕事や人間関係に追われ、余裕なんてどこにもない。

それでも「ゆとりを持とうと願うこと」から始めるしかないのです。

 

「ダム式経営」

ここで紹介したいのが、松下幸之助氏による「ダム式経営」のエピソードです。

20代で京セラを創業して間もない稲盛和夫氏が、松下幸之助氏の講演会に参加したときのこと。

松下氏が「ダムのように余裕を持って経営することが大切だ」と語ると、参加者の一人が「そのダムをどうやって作ればいいのでしょうか」と質問したそうです。

しばらく考えた松下氏の答えは

 

「一つ確かなことは、まずダム式経営をしようと願うことです」

 

会場の多くの人は「なんだ、それだけか」と失笑したそうですが、若き稲盛氏は体に電流が走り「そうか、願うことからすべてが始まるのだ」と衝撃を受けたと云います。

私もこの話を直接聞いたときにハッとしました。

同じ話を聞いても、受け取る側の姿勢でこんなに意味が変わる。

求める心がなければ、せっかくの教えに気付かず終わってしまう。

求める心さえあれば、何気ない言葉にも大きな気づきを得られる。

これは人生も経営にもあてはまります。

 

願うことから始まる

結局のところ、判断軸をぶらさず行動し続けるためには、願うことに尽きると思います。

そうありたいと心から願い、環境を整え、人生観と重ね合わせる。

この積み重ねが人を成長させていくのだと信じています。

 

始まりはいつも願うこと。

すべてのスタートがここにあります。