人間の弱さ
前回ご紹介した強い考えをもってしても、置かれた環境によって判断軸が揺らぐことがありますから、環境というのは本当に大事な要素です。
先頃、銀行員が顧客の資産に手をつける事件が話題になりました。
一般論として倫理観の欠如が理由にされがちですが、実際には借金や家庭の事情など、当人が追い詰められていた背景があることが殆どです。
経営学で不正のトライアングルと呼ばれるように、動機と機会、そして正当化の三つが揃うと不正に手を染めやすくなります。
つまり環境が人を追い込んでしまうのです。
そこで普段から環境を整え、心にゆとりを持つことが大切になってきます。
もちろん人によっては難しいかもしれません。
日々の仕事や人間関係に追われ、余裕なんてどこにもない。
それでも「ゆとりを持とうと願うこと」から始めるしかないのです。
「ダム式経営」
ここで紹介したいのが、松下幸之助氏による「ダム式経営」のエピソードです。
20代で京セラを創業して間もない稲盛和夫氏が、松下幸之助氏の講演会に参加したときのこと。
松下氏が「ダムのように余裕を持って経営することが大切だ」と語ると、参加者の一人が「そのダムをどうやって作ればいいのでしょうか」と質問したそうです。
しばらく考えた松下氏の答えは
「一つ確かなことは、まずダム式経営をしようと願うことです」
会場の多くの人は「なんだ、それだけか」と失笑したそうですが、若き稲盛氏は体に電流が走り「そうか、願うことからすべてが始まるのだ」と衝撃を受けたと云います。
私もこの話を直接聞いたときにハッとしました。
同じ話を聞いても、受け取る側の姿勢でこんなに意味が変わる。
求める心がなければ、せっかくの教えに気付かず終わってしまう。
求める心さえあれば、何気ない言葉にも大きな気づきを得られる。
これは人生も経営にもあてはまります。
願うことから始まる
結局のところ、判断軸をぶらさず行動し続けるためには、願うことに尽きると思います。
そうありたいと心から願い、環境を整え、人生観と重ね合わせる。
この積み重ねが人を成長させていくのだと信じています。
始まりはいつも願うこと。
すべてのスタートがここにあります。